ずいぶん前から気になっていた、、寺山ワールド。
シーザーが寺山修司の少女詩集を基にした劇中歌を再編して出したアルバム。
演劇実験室◎万有引力が結成された当時、池袋で「シナの皇帝」に非常に感銘をうけた僕は、ルピリエの舞台をでて見つけたシーザーの作った劇中音楽の「奴隷訓」「レミング」等のテープ販売に手が出そうになっていたがためらってしまった。今思えばそれが、当時の音効スタッフの方から後に音効スタッフとして教えをいただく機会があったことを捨てる前触れ(演劇の世界で生きていく道をやめること)だったと思う。
それから22年、2005年に愛知万博で上演された「群読叙事詩劇・一粒の種」(脚本・演出をシーザーが担当)に感動し9回ほど見てしまったのを覚えている。
そして最近彼の寺山ワールドアルバムが出ることを知り33年ぶりに覗いてみることに。
これは、、思っていた以上にすばらしい。人間の業というか、逃れられない世界、
日本人として日本語がわかる以上ますます、演歌、童謡、民謡、、
言葉によるイマジネーションの制限を避け、ここ数年日本語の歌詞から離れた音楽を聴いてきた僕にとっては新鮮です。
3年くらい前にはまったドロドロの「YOSHII ROBINSON」以来です。
因みにCDのシーザーの解説には下記のように書いてあり、天井桟敷の舞台をほとんど見ていない僕に想像力を描き立てるイメージ作業を追加しているとのこと、うれしいかぎりです。
「私の劇版音楽は視覚のための想像力を増幅させるためのものとして作られている未完の音楽であり、これを独立した音楽にするにはイントロ等の変更、アレンジ追加、47年前の古い曲もあってイメージ作業が大変だった。 J・A・シーザー」
以下各曲の感想
(2人の声質をうまくそれぞれの曲に当てはめ、また2人の歌唱力もそれに十分答えていてすばらしい。)
・新・田園に死す(蜂谷眞未)
唐十郎舞台作品や必殺仕事人などの時代劇も彷彿とさせられる。
・あじあのあけぼの(蜂谷眞未)
お経のテンポをモチーフに、小学校1年の時にむりやり見せられた「宝塚歌劇」の
一部を思い出した、今もこのような曲を使っているのかな。
ドラムリズムにアクセントがついていてバイオリンと絡んでおもしろい。
・天幕エレジー(石川詩織)
・霊燕記(蜂谷眞未)
捨てられた女の自殺をテーゼに、キングクリムゾンのエピタフのオルガンに乗せて
燕になって、、
・宵の明星(石川詩織)
チャールストンの日本版
・灰娘(蜂谷眞未)
これは宝塚で体験し聴いていたようなシンデレラ物語。
返してわたしの時間を、、バイオリンの咽び泣きも染みる。
・血約聖書(石川詩織)
それが愛、それが愛。 確かに愛には犠牲が伴う!
・風見鶏のマリー(蜂谷眞未)
舞台を観ていないのだが、夏木まりや美輪明宏の舞台の香りがする。
・私窩子(蜂谷眞未)
あ、椎名林檎に歌ってもらってもいい味でそう。
・ほたる心中(蜂谷眞未)
これは、、今も使っているであろう宝塚の曲だ!!
・花街按摩数え唄(蜂谷眞未&石川詩織)
唯一2人で歌う曲で子どもが歌う数え歌のような小さい頃遊んでいた頃を思い出す
・子守頭巾(石川詩織)
子守歌の神髄、むかし母親に歌い聴かせてもらったような、、
・迷路盲目ばやし(石川詩織)
あっちで こっちで どっちで そっちで というフレーズが印象的。
・青少年のための無人島入門(石川詩織)
電話しかなかった当時と比べて現在の若者はネットとかで繋がりができるからとは
いえ、こんな寂しい気持ちに共感してくれるんかなあー?、
あーあー、あーあー泣けてきます。
いつになるかわからないが、一度上京して今のシーザーの舞台も確認したい。